【REPORT】第2回 経営者イノベーション・ラウンドテーブル
2026/02/19

経営者イノベーション委員会(以下EIC)が、「経営者イノベーション・ラウンドテーブル」を2025年8月4日に開催しました。
その様子を、レポートとダイジェスト映像にてお伝えいたします。
ダイジェスト映像は、以下の青枠内のYouTube動画を再生してご覧ください。
EIC YouTube チャンネル
第2回 経営者イノベーション・ラウンドテーブル
神田明神で問う、日本の未来 「デザイン力」なき国家は衰退するのか?
「変わらなければ、衰退する」――。1300年の歴史が息づく神田明神。その静謐な空間で、日本の未来をめぐる熱い議論が交わされた。産官学のトップリーダーたちが共有した強烈な危機感の先に見えた、日本の構造的課題とは。再生への処方箋として浮上した「エコシステム戦略」の可能性を探る。
伝統と革新の地で問われたリーダーの「覚悟」
2025年8月4日、第2回「経営者イノベーション・ラウンドテーブル」の舞台に選ばれたのは、第1回と同じ東京・千代田区の神田明神。モデレーターを務めた一般社団法人Japan Innovation Network(以下JIN)の代表理事(開催時)の紺野登氏は、冒頭で「経営者イノベーション委員会(以下EIC)」の設立を宣言。「世界が社会・技術・経済・環境・政治の全てで危機に直面する今こそ、産官学民が垣根を越えて日本の進むべき道を提言する場が必要だ」と力強く訴えた。
その言葉に応じるように、来賓の経済産業省の菊川人吾氏、文部科学省の生田知子氏からも、切実な現状認識が示される。「海外からの投資や人材獲得への関心は高いが、国内の制度やルールが変化に追いついていない」(菊川人吾氏)。「大学が持つ“知”のポテンシャルをいかに社会実装に繋げるかが鍵だ」(生田知子氏)。会場を提供した清水祥彦宮司は「1300年の歴史の中で、常に時代に合わせて自らを変革させてきた。伝統を守りながら革新を続けることが重要」と語り、この「経営者イノベーション・ラウンドテーブル」の意義を象徴した。
ビデオメッセージで参加したEICエグゼクティブアドバイザーの小宮山宏氏の言葉は、さらに辛辣だ。「産官学連携は何十年も言われ続けてきた。大事なのは議論ではなく、本当に“やること”だ」。――もはや言葉だけの改革に時間はない。リーダーたちの「覚悟」が、今まさに問われている。
「やってるふり症候群」の蔓延 浮き彫りになった日本の現在地
テーマ1の『変革はリーダーから始まる「産官学リーダーの覚悟と行動」』のセッションでは、リーダーシップの役割に焦点が当てられた。多くの経営者から、「短期的な株主からの圧力に屈せず、長期的な視点でイノベーションに投資する“覚悟”が必要」との声が上がった。一方、EIC事務局の東浦亮典氏からは、現場の「イノベーション疲れ」や、実証実験(PoC)ばかりで事業化に至らない「やってるふり症候群」という言葉は、多くの参加者に重く響いた。「短期的な株主からの圧力に屈せず、長期的な視点で投資する“覚悟”が必要だ」という声も上がるが、トップのコミットメントが口先だけで、組織の隅々まで浸透していない現実が浮き彫りとなった。
テーマ2の『イノベーションなき国の行方「変わらなければ、衰退」』のセッションでは、日本の「現在地」が容赦なくえぐり出された。スイスのビジネススクールIMDの世界競争力ランキングで、日本が過去最低の35位に後退した事実を前に、参加者からは自己批判的な意見が相次ぐ。「横並び意識が強く、リスクを取れない」「意思決定のスピードが遅すぎる」「世界を本気で取りに行く野心(グローバル・アンビション)が足りない」。
なぜ、日本は停滞から抜け出せないのか。多くのテーブルで共通の課題として認識されたのが、個別の高い技術力を組み合わせ、社会課題解決の大きなシナリオを描く「デザイン力(構想力)」の欠如だった。
処方箋は「エコシステム戦略」だが、誰が全体をデザインするのか?
テーマ3の『競争から価値創造へ「エコシステム戦略」』のセッションでは、GAFAのような巨大プラットフォーマーが支配する現代において、単一企業での自前主義はもはや限界。議論の末に導き出された結論は、業界や企業の垣根を越えて連携する「エコシステム戦略」が不可欠であるというものだった。
しかし、ここでも「デザイン力」の不在が壁となる。水素社会のような新産業を創出するには、部品メーカーと自動車メーカーのようなプレイヤーが水平連携する必要がある。だが、「誰がその全体像をデザインするのか?」というリーダーシップの不在が、最大の隘路として指摘されたのだ。「どの領域で協調し、どの領域で競争するのか」。その戦略的な切り分けを描く司令塔がいないのである。
議論を総括した紺野登氏は、「本日出た課題はすべて繋がっている」と語り、リーダーたちに個社の利益を超えた「発信力」を求めた。 このラウンドテーブルは、単なる議論の場ではない。「日本型のイノベーション・エコシステム」をいかに構築していくか。具体的な政策提言や共同プロジェクトへと繋げるための、力強いスタート地点だ。神田明神の伝統が象徴するように、革新は歴史の延長線上にある。伝統の地で交わされた危機感と熱意は、日本の未来をデザインする、新たな意志の狼煙となるだろう。


























第2回
経営者イノベーション・ラウンドテーブル
内容:第2回「経営者イノベーション・ラウンドテーブル」
日時:2025年8月4日(月)16:00~20:30(15:15より昇殿参拝)
場所:神田明神 文化交流館4階「令和の間」(東京都千代田区外神田2-16-2)
企画:経営者イノベーション委員会(EIC)
運営:一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)
アジェンダ
15:15~15:45 昇殿参拝
16:00~16:30 パート1:イントロダクション
_1. 開催にあたっての挨拶(紺野)
_2. 経営者イノベーション委員会(EIC)設立、経営者イノベーション・ラウンドテーブル及びイノベーション経営賞の活動趣旨説明
_3. 企業委員、後援団体への謝辞
_4. 経済産業省・文部科学省関係者からのご挨拶
_5. 神田神社 清水宮司によるご挨拶
_6. 小宮山宏EICエグゼクティブアドバイザーからのビデオメッセージ
_7. テーマに関するイントロダクションダイアログ 事務局(竹川・東浦・紺野)
16:30~18:30 パート2:ラウンドテーブル
_1. テーマ① 変革はリーダーから始まる「産官学リーダーの覚悟と行動」
_2. テーマ② イノベーションなき国の行方「変わらなければ、衰退」
_3. テーマ③ 競争から価値創造へルールをどう変えるか「エコシステム戦略:新たに日本企業は動けるか?」
_4. ラップアップ
18:30~20:30 パート3:ネットワーキング交流会
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